一般社団法人埼玉県建設業協会

トピックス 2016年11月号

関東甲信越ブロック会議
安定的・持続的事業量の確保を
受注量減少に懸念示す

 平成28年度関東甲信越地方ブロック会議と地域懇談会が10月6日、東京大手町の経団連会館で開催された。
 冒頭、挨拶の中で関東甲信越地方建設業協会の渡邊会長は、「厳しい経営環境下にある地方建設業が「地域の守り手」としての使命を果たしていくための安定的、持続的な事業量の確保」を求めた。
 国土交通省の谷脇土地・建設産業局長は、「来年度予算は目一杯の要求をしており、省を挙げてしっかりと取り組んでいきたい。来週から建設産業政策会識が始まるが、将来を見通して、建設業が現場カを発揮できる環境を目指していきたい」と挨拶。
 全建の近藤会長は、「今年は「地域建設業が将来にわたって役割を果たしていくために」をテーマに、経営の安定化、担い手の確保・育成などについて、本音で議論をしていきたいと考えている。地域が抱える諸課題について、忌憚のない意見を積極的に発言してもらい、有意義な会議としたい」と述べ、活発な議論の結果が早期に諸施策に反映されることに期待を示した。
 関ブロ会議に先立ち開かれた地域懇談会には星野副会長、野中副会長と小島専務理事が出席、国土交通省から示された「建設産業の担い手の育成・確保を通じた持続的発展と地域を支えるインフラの品質確保」と、全建提案の「地域建設業が将来にわたって役割を果たしていくために」をテーマに、各都県協会と意見が交わされた。
 引き続き開催された関ブロ会議には、島田副会長も参加、7項目にわたる要望を行った後、決議文読み上げが行われ、すべて採択された。
要望事項は次のとおり

公共事業予算の安定的・持続的な確保と安定した財源確保について(新潟県建設業協会)

 今年度の公共事業予算の執行については、上半期において国・地方公共国体で昨年度舗正予算と当初予算の約8割以上の執行が指示されているため、下半期には工事執行が激減することが予想される。この度の、インフラ整備などを含む大型補正予算においては、「アベノミクス」効果が実感されていない地方への優先配分をお願いしたい。また、平成29年度当初予算についても、捕正予算に依存しなくてもよいように、大幅に増額した予算の確保とともに、地域間格差を踏まえ、減少著しい地方への重点配分をお願いしたい。
 さらに、公共事業費については、景気に左右されない安定的・持続的な財源確保のための仕組みづくりを検討していただきたい。

 回答:「地元の要望などを踏まえ、29年度当初予算(対前年産比1.16倍)の確保に向けて全力で取り組んでいる。ご指摘の、計画的に社会資本整備を進めていくためには、安定的・持続的な財源確保は極めて重要と考えてる」

限界工事量の確保について(群馬県建設業協会)

 地域建設業者は、道路除雪や自然災害に迅速に対応することを使命と心得ているが、この使命を果たすためには限界工事量(人員と機械を維持するのに必要な工事量)の受注が不可欠。現状のままでは、限界工事量に達しない建設業者が除雪や災害対応から脱落し、その分残った建設業者の負担が増し、やがては地域の安全・安心が守れなくなる。こうした事態にならないよう、また、地域建設業者が継続して社会的使命が果たせるよう限界工事量の確保をお願いしたい。

 回答:「地域建設業が地域の守り手として重要な役割を担っていることは充分に認識している。地域要件、地域貢献度、地域精通度などを勘案した多様な入札方式に取り組むとともに、企業活動が可能となる工事量について、予算の確保とともに検討したい」

地元建設事業者の受注機会の拡大について(千葉県建設業協会)

 ①分離・分割発注によって発注単位を引き上げ、地域建設事業者が多く属する土木工事でのCランク工事と舗装工事でのBランク工事を拡大していただきたい。併せてJVによる工事についても、地元の事業者が一層参加しやすい方策を検討していただきたい。
 ②地域密着工事型について地元建設業者への発注件数を拡大するとともに、自治体実績評価型についても発注件数を拡大し、さらに実績評価対象自治体を市町村まで拡大していただきたい。
 ③入札参加条件において、配置技術者自身の実績でなく、企業としての実績があれば競争参加できるように改善していただきたい。

 回答:「地域建設業の受注機会の拡大につながるよう、分離・分割発注の徹底に取り組んでいるところ。要望のあった自治体実績評価型の市町村までの評価対象拡大については、引き続き成績評定の標準化に努めたい。また、品質確保の観点から、技術者を評価することが重要と考えており、要望については今後の検討課題としたい」

営繕(建築)工事に関する改正品確法の運用検証と情報収集窓口の配置および「入札時積算数量書活用方式」について(長野県建設業協会)

 ①国においては、入札契約の適正化について、発注者の取り組み状況について調査を実施しているが、出先機関や局などに運用検証・情報収集の窓口を設置して、具体的な事例を収集、検証することにより、営繕工事についても早朝改善につながるものと考えているので、早期の設置をお願いしたい。
 ②営繕工事において、国土交通省での「入札時積算数量書活用方式」の本格導入と、この方式を地方公共団体にも採用するように指導していただきたい。
 ③建築工事について、「現場管理費率」・「一般管理費率」の引き上げ、市場における労務・資材などの取引価格・現地の施工実態などを的確に反映した予定価格の適正な設定、施工量の少ない現場の実態を反映した小規模施工歩掛の改定などの施工実態に即した設計・積算の確立を要望しているが、これらの改定などの進捗状況についてご教示いただきたい。

 回答:「品確法制定後、局には相談窓口を設置したほか、ホームページにおいても対応し情報の収集に努めている。入札時積算数量書活用方式の本格導入については、まず実績を積みたい。一般管理費率の引き上げについては関係機関と調整をしており、できるだけ早く結論を出したい」

改正品確法の運用指針の徹底について(埼玉県建設業協会)

 市町村の入札契約制度の問題点を把握し、改正品確法と運用指針の趣旨が徹底されるよう指導をお願いするとともに、運用指針において実施に努める事項とされている「発注や施工時期の平準化」を、「必ず実施すべき事項」に位置付け、一層力を入れていただきたい。

 回答:「直轄工事においては、ゼロ国債、繰り越し制度を活用しているほか、年度を跨いで施工できるよう2ヶ年国債を設定、16・17年度の2ヶ年国債は15・16年度比3倍の700億円を設定した。市町村に対しては地域発注者協議会の場などで働き掛けを行っているほか、財政テクニックで可能となる事例集の周知を各都道府県、市町村に対して図りたい」

中央公契連における、工事請負契約に係る低入札価格調査基準の見直しについて(山梨県建設業協会)

 低入札価格調査基準の一般管理費について、額に乗じる係数を現行の10分の5.5から、現場管理費と同様に10分の9に改定することと、低入札価格調査基準価格は、予定価格の0.7〜0.9の範囲と上限が抑えられているため、一般管理費を改訂しても0.9以上に上げられない。また、独自基準で実施している公共団体においてもこのままでは上限の設定に限度があると考えられるため、この設定範囲を撤廃することについて至急議論を始めてもらいたい。

 回答:「工事の品質確保の観点から、見直しが必要になった場合はしっかりと対応していきたい」

建設業の担い手確保・育成の推進と戦略的広報について(茨城県建設業協会)

 将来の見直しに立った労働環境の改善や若年者の入職促進など、地方建設業における担い手確保・育成への取り組みに対し、さらたなる支援充実と強化をお願いするとともに、若年技術者などが将来を託せるよう、国土強靭化法や国土形成計画などを踏まえた社会資本整備の将来的見通しを明らかにし、地域建設業の経営安定のため、計画的かつ安定的な公共事業予算の確保・拡大を図っていただきたい。
 また、業界のイメージアップについては各都県とも取り組んでいるが、業界だけの取り組みでは困難であるため、国においては公共事業の必要性などを戦略的に発信するとともに、官民一体となった総合的な対策に取り組んでいただきたい。

 回答:「技能労働者のさらなる処遇改善を図る必要があり、中でも週休2日制は単価や日給月給、工期の問題があるが実現に向け取り組みたい。業界のイメージアップについては、戦略実践プロジェクトチームを立ち上げたほか、8月からは吉本興業の芸人を活用し、建設業のイメージアップに努めていくこととしている」


若手社員フォローアップ研修実施

開講式であいさつする中村労働委員長

 若手社員フォローアップ研修が10月20日〜21日までの1泊2日の日程で、伊奈町の埼玉県県民活動総合センターにおいて開催され、会員企業から66人(うち女性12人)が参加した。
 開講式では、主催者を代表して中村労働委員長が、「入社後半年余りが経過したが、自信に溢れた雰囲気を感じる。いろいろな経験を積んだ結果が表れているのだろう。企業は利益を生むために、いかにコストを削減するかに努力している。このためには、技術・事務職が一体となって取り組むコミュニケーション能力が重要だ。この研修では基本に立ち返りもう一度見直していただき、与えられた時間を有意義に過ごすとともに、新たな活力を見つけ出し会社の発展に寄与していってもらいたい」と挨拶した。
 講師は、全国建設産業教育訓練協会・富士教育訓練センターの花輪孝樹先生が務め、まず、実践講座・演習の「人間力向上に向けて〜人生に卒業なし・企業人の行動力〜」、「礼節マナーの成果と応用〜社風や品位の源流・愛される技術者に〜」から始まり、グループ演習・研究の「コミュニケーション活性法〜話す力、聞く力、質問する力〜」、「交流から自己啓発へ〜さらなる親睦をかねて〜」のメニューを精力的に消化、1日目を終了した。
 2日目は、「建設業に従事する者の心がまえ〜必要とされる人材・スキル〜」、「行動試行訓練〜多角的発想と問題解決力〜」「人間力向上への決意〜明日からの行動計画の策定〜」のメニューにチャレンジ、レポートを作成し終了となった。
 閉講式では、小島専務理事より修了書が授与された後、今後の活躍に期待しエールが送られた。

小島専務より修了書授与

土木工事積算実務講習会開く
建設物価調査会と共催

 建設物価調査会との共催による「平成28年度土木工事実行予算作成実務講習会」が10月27日午前9時30分から、建産連研修センター200会議室で開催され約40人が参加した。
 今回は、「土木工事積算基準マニュアル」をテキストに、①28年度積算基準・歩掛の改定概要の説明②品確法と建設業法・入契法などの一体的改正について③設計書の作成手順・様式④直接工事費について(施工パッケージ型積算方式の解説含む)⑤間接工事費について⑥一般管理費などについて⑦土木工事標準歩掛についてなど、工事積算の仕組みの解説や演習が行われた。
 同講習は、全国土木施工管理技士会連合会が実施している継続学習制度(CPDS)の認定プログラムとなっており、今回の受講者には6ユニットの学習単位が付与される。

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