一般社団法人埼玉県建設業協会

経済一口メモ 2014年10月号

業況が堅調に推移する建設業

 埼玉県内企業の業況感は、緩やかに持ち直している。当社は埼玉県内企業へ3か月ごとに企業経営に関するアンケート調査を実施している。今回の8月調査では、2014年7〜9月期の業況判断BSIが-13と、消費増税により低下した前回調査の4〜6月期 -18に比べ5%上昇している。この業況判断BSIは、各企業に自社の業況について「良い」、「普通」、「悪い」の3択から1つを選んで回答をいただき、「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた数値で示したものである。1997年4月の消費増税時に -20(4〜6月期)から-14(7〜9月期)と6㌽上昇したものと同程度の持ち直しとなっている。
 業種別にみると、製造業では、公共工事が寄与している金属製品、省力化や環境関連装置等が堅調な電気・情報通信機械器具、コンビニ向けが堅調な飲・食料品などが持ち直している。また、非製造業は、一般建設が改善、小売などが持ち直している。
 先行き10〜12月期の業況判断BSIは全産業で0と13㌽上昇する。業種別にみると、製造業は、多くの産業で生産高が回復する見通しから、化学・プラスチック・ゴム製品、鉄鋼・非鉄金属、電子部品・デバイス、精密機械で、また、非製造業は、住宅建設、卸売、小売、運輸・倉庫などで業況がそれぞれ持ち直す見通しとなっている。
 埼玉県内の建設業については、業況判断BSIは7〜9月期が29と、 4〜6月期の16に比べプラス幅が13㌽拡大している。全産業が -13と水面下にあるなかで、建設業の業況はプラスと浮上している。ただ、建設業は売上高BSI(「増加」と回答した企業の割合から「減少」と回答した企業の割合を引いた数値)が22であるのに対し、経常利益BSI(「増加」−「減少」)は11とプラス幅が小さい。原材料・仕入価格BSI(「上昇」−「下落」)が71と高止まり、雇用人員BSI(「過剰」−「不足」)も -72と不足感が強い状況が続いている。資材価格や人件費の高止まりにより、売上をあげても収益を確保しにくい状況がみてとれる。先行き10〜12 月期は、売上高BSIが24、経常利益BSIも19へと改善し、業況判断BSI は24と堅調が続く見通しとなっている。
 東日本建設業保証協会株式会社の公共工事前払金保証統計によると、埼玉県の公共工事請負金額は、4〜8月の累計で前年同期比7.5㌽増の2,167億円となっている。2013 年度補正予算と2014 年度の当初予算を一体で編成した「15 か月予算」の効果がでているようで、独立行政法人等、市町村などを増加させている。公共インフラ老朽化対策などの公共工事に加えて、今後はオリンピック開催に向けた需要が想定される。こうしたもとで、埼玉県内の建設業の業況は堅調に推移すると期待している。

(ぶぎん地域経済研究所)

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