一般社団法人埼玉県建設業協会

経済一口メモ 2014年7月号

県内企業の夏季ボーナス支給予定額一人平均で43万8,038円

 個人消費は消費増税後の駆け込み需要の反動減から弱含んでいる。ボーナス支給月である6、7月は、反動減からのリバウンドが試される時期になる。このタイミングでボーナス支給額が増えれば、個人消費の回復に向けた支援材料になるだろう。
 そのなかで、当研究所は、夏季ボーナス支給予定調査を5月に実施した。回答企業215社(回答率37.5%)の支給方針は、「昨夏より増加」との回答が26%で、前年調査に比べ5㌽増加し、「昨夏より減少」は6%で、同4㌽減っている。夏季ボーナスの支給方針が改善するのは、足元では駆け込み需要の反動減による景気の落ち込みが見られるが、反動減はほぼ想定内に収まり、先行き企業業績も再び回復すると経営者が見ているためと考えられる。
 ただ、「昨夏とほぼ変わらず」との回答が46%を占め、調査時点で「支給方針未定」の企業が6%、「支給しない」との回答が15%あり、支給方針は企業業績によってバラツキがみられる。ボーナス支給額を決定する際に参考にする事項についてみると、「自社の業績」が92%と最も多く、注目された「政府による賃上げ要請」に応えて支給額を決定する企業は極少数にとどまった。
 従業員一人当たり平均支給予定額(従業員数による加重平均)は、全産業で、43万8,038円で、昨夏の支給額に比べて9,427円、2.2%増加している。これを業種別でみると、製造業の平均支給予定額は38万8,115円(昨夏比3.7%増)、非製造業は47万4,629円(同1.2%増)で、非製造業の支給予定額の方が高くなった。なお、一人当たりの平均支給予定額は、企業規模の大小で違いがみられ、従業員100人以上の企業では44万8,440円、100人未満の企業では38万9,080円と、約5万9,000円の開きがあった。
 建設業についてみると、支給方針は、「昨夏より増加」との回答が50%と、全産業の26%を大きく上回り、「昨夏より減少」は0%と該当がなく、「昨夏とほぼ変わらず」が31%となっている。一方、「支給方針未定」の企業は13%、「支給しない」は6%にとどまっている。支給額も大幅に増加する見通しで、1人当たりの平均支給予定額は、昨夏の支給額に比べ17.1%増の31万1,913円だった。支給額は非製造業平均よりは下回っているが、増加率では全業種の中で最も高くなっている。また、建設関連産業の住宅建設・不動産では、一人当たりの平均支給額は47万6,047円に上っており、昨夏の支給額に比べ1.2%増の5,602円だった。
 建設業ではボーナス支給について全産業に比べ積極的な姿勢が見受けられる。深刻な人手不足問題に対処するために、必要にせまられてボーナス支給額の増額に踏み切っている事業所が少なからずあるのかもしれない。

(ぶぎん地域経済研究所)

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